プリント基板実装工程の挿入部品実装/はんだ付けの工程でフローはんだ槽という装置があります。
この装置は昔からある挿入部品のはんだ付け用装置です。
最近はフローはんだ槽メンテナンスが行き届いていない事が見受けられます。
はんだドロス(酸化物)処理が出来ていないため、はんだ付け品質が劣化している工場も見受けられます。
古典的は工法のため、取り扱いが難しく技術伝承が出来ていない工程となっています。
今回の記事では、フローはんだ槽メンテナンスについて書きたいと思います。
フローパレットが同じでも品質に大きな差
私は以前フローパレット手配を担当していた。
フローパレットは品質に大きく左右される治工具で仕様や特殊処理など力を入れている治具でした。
新製品の立ち上げでフローパレットを作成し初期生産を行った際、どうしても不良が減少しない箇所があり様々な対策をしたが一向に良品率が上がらない状態が続いていたが解決策が無く停滞していた。
時期が経過し、その製品が協力会社に生産拠点を移すことになりフローパレットも協力会社に移管となり、その工場へ立ち合いに行くことになり、フローはんだ工程に伺った。
生産条件は全く同じでなのにはんだ付け品質は全く違うものだった。
まったく同じ生産条件で大きな差
・フローパレット :同じものを使用
・温度プロファイル:同じ条件
・棒はんだ :メーカー、組成、型式同じ
・フラックス :メーカー、型式同じ
自分たちとの差を確認
色々話をお聞きし違いを洗い出すと、フローはんだ槽メンテナンスが違うことだけであった。
その中でも大きな違いは
はんだドロス除去とはんだ槽内清掃が違う事に気が付いた。
ドロス(酸化物)除去とは
ドロスとは、はんだの酸化物で、はんだが攪拌されることによって生成され鉛フリーはんだで取扱いが高温になるにつれ、ドロスの生成量も増えます。
ドロスが多くなると、はんだ噴流ポンプにドロスが吸い込まれ、はんだ噴流の中に混じるため、はんだ不良を引き起こすため、定期的にドロスを除去する必要があります。
メンテナンスが効き届いている工場は定期的にドロス(酸化物)除去を行い、層内環境を常に整えています。
はんだ槽メンテナンスの間隔
はんだ槽のドロス除去メンテナンスの違いを整理してみました。
まったくもってお話にならない運用方法でした。
項目 | 移管先 | 自分たち |
---|---|---|
ドロス清掃 | 毎日 | 汚れたら |
ノズル清掃 | 3ヶ月 | 半年 |
シャフト清掃 | 3ヶ月 | 半年 |
品質安定化の実現
まずは、お手本としてフローはんだ槽メンテナンスを真似して方向性が見えてくる場合が多々あると考え実施してみたて、結果としてフローはんだ槽メンテナンスについてはの結果は部品挿入工程はんだ付けは品質は向上しました。
不良率が半分以下に低減。
やっぱり自分たちの技術伝承がなっていなかったんだなと実感してた。
まとめ
品質向上するだけではなく、その工場で生産している製品群や生産数などでメンテナンス運用は変わる可能性があるので、お手本の真似をして出てきた結果から運用方法を微調整する事でノウハウになる事に気が付いた出来事でした。
分からないときは、まず真似してみることから始めて、そこから自分のものにして行くことで課題を解決しいていけると思います。
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