「SMT工程ってなんだ?」っていう方も沢山いると思います。
プリント基板実装とは基板アートワーク設計を経て電子部品がはんだ付けされていない配線だけの基板へ電子部品を実装、はんだ付けをして電子回路を形成することです。
部品形状により、基板の表面に部品を実装するSMT(表面実装工程)と、基板に部品を挿入してはんだ付けをするDIP(挿入実装工程)で構成されてます。
スマホのように製品の小型/軽量化にともない、プリント基板実装部品も小型化・省スペースで実装できるSMT(表面実装)が主流です。
この記事では下記疑問について説明しています。

基板実装技術開発に従事して30年の実装技術者です。
新製品や工場監査の悩み解決になればと思いブログを書いています。
大量生産品は海外生産が多いですが
現代を支える産業なので国内生産することが技術発展にも繋がります。
基板実装業界の発展が未来を支えるので
この業界に関わる方が増えることを望んでいます。
プリント基板実装工程(製造工程)の仕組みについてどのような物なのか初めての方でも分かり易く記事にします。



基板実装工程の仕事を始めたばかりの方や
社内にプリント基板実装工程がある、間接職場関係者に向けた記事です。



プリント基板実装経験が浅い方や興味がある方
また製造業に興味がある就活生にも役立ちますよ~!



ファブレスメーカーでプリント基板実装委託していて
プリント基板実装を知りたい方も是非参考にしてください!










プリント基板製品を生産するには基板実装工場で生産され【はんだ付け】を複数の工程で生産しています。
ここではプリント基板生産工程について分かり易く説明します。
・プリント基板実装工程の流れ
・基板アートワーク設計との関わり
・実装技術の重要性
・関連記事へのご案内
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プリント基板実装ラインの全体構成






SMT(表面実装工程)の後にありますDIP(挿入部品実装)工程について
基板実装工場のプリント基板実装工場組織についてもご覧ください。
SMT(表面実装)工程とは



表面実装は、基板の表面にはんだを用いて部品を直接実装する方法です。
この方法は、部品が小型化、基板のサイズを小型化したい場合に特に有効で、SMTは、高速で、コンパクトで、信頼性の高い基板を作ることができます。
SMT(表面実装)工程は複数の設備工程で構成されています。
・レーザー印字工程
・基板クリーニング工程
・クリームはんだ印刷工程
・SPI(はんだ印刷検査)工程
・部品実装工程
・リフロー前検査工程
・リフロー工程
・AOI(はんだ付け時槽検査)
・目視外観検査工程




レーザー印字工程



プリント基板実装工程は初めに基板それぞれにレーザー印字を行います。
基板クリーニング工程



色々な種類の基板クリーナー装置がありますが上記画像のような基板供給装置(ローダー)にくみこまれているコンパクトなクリーナーを採用しています。
プリント基板表面には様々なゴミ、埃などが付着しているので工程投入前にクリーニング装置でゴミを除去します。
SMT実装する際にクリームはんだや部品がゴミに付着すると基板に異物付着などが原因で不良になるので除去が必要なのが必要な理由です。



基板実装工程におけるゴミ付着対策についてはこちら



クリームはんだ印刷工程



この工程はメタルマスクという治工具を使いプリント基板へクリームはんだを印刷する工程です。
クリームはんだ印刷工程品質がSMT(表面実装)の品質の70%を占める重要工程です。
はんだ付けと聞くとはんだコテでを想像すると思いますがクリーム状のはんだも存在しておりプリント基板実装工程では必須の【はんだ】電子材料となります。



クリームはんだ印刷~地味だが重要な基板実装工程の要についてはこちら
クリームはんだとは



クリームはんだとははんだ合金にフラックスを混ぜてクリーム状にしたものでソルダーペーストとも言われます。
SMT実装工程では必須な電子材料となっており、工場のクリームはんだ印刷技術力を見ることが出来る工程になります。



クリームはんだの種類についてはこちら






クリームはんだ以外の材料についてはこちら
メタルマスクとは



メタルマスクとはプリント基板上にあるSMT部品を実装する場所だけにクリームはんだを印刷する治工具です。
基板の上にメタルマスクを置きメタルマスク上のクリームはんだを基板上に印刷します。
ステンシルの厚さは主に80μm~200μm以下の極薄ステンレス板にプリント基板上部品箇所へ微細に切削し極小開口穴を生成した治工具です。



メタルマスク~プリント基板実装の品質左右する治工具についてはこちら






バックアッププレート治具とは



両面基板に部品実装を行うためにクリームはんだ印刷を行う場合にバックアッププレートという印刷受け台を使用します。
先に実装する場合はは平面の印刷受け台で良いが、後面は部品が付いた面が下になるために平面印刷受け台を使用出来ない為、クリームはんだ印刷時の品質が悪化するので使用します。
クリームはんだ印刷は下からの支えが無いと密着性が崩れ品質が悪化します。
基板により部品配置が違うため、支える場所が変動するためにバックアッププレートは、基板毎に専用化されています。










クリームはんだ印刷バックアッププレートについてはこちら
接着剤(ボンド)とは



接着剤は、はんだの代わりに印刷(塗布)して、部品の実装を行い仮固定する為の電子材料で以前は主要な電子部品実装方法でしたが現在はあまり使われていませんが白物家電などの製品に使われていることが多い工程です。
エポキシ樹脂の硬化温度は、約150℃ではんだより低温で硬化させ部品固定を行いますが
部品を固定しているだけのため、別工程ではんだ付けをする必要があります。



ボンド印刷でのSMDフロー実装 ~接着剤部品固定についてはこちら
SPI(はんだ印刷検査)工程とは
基板実装の要になるクリームはんだ印刷工程から送られてきた、クリームはんだ印刷されたプリント基板の検査で印刷状態を検査する工程です。
クリームはんだ印刷状態(体積、高さ、面積、位置ずれ、形状)を2D/3Dイメージで印刷状態を検査します。
最近は、クリームはんだ印刷以外にもボンド印刷状態やプリント基板全体の異物検査も入れ込むことが出来るようになってきました。
検査結果をリアルタイムに検査情報をクリームはんだ印刷工程にフィードバックしてパラメーター修正などにより、クリームはんだ印刷不良を未然に抑止します。
クリームはんだ印刷工程がSMT(表面実装)の品質の70%を占めると言われていますがこのSPI(クリームはんだ印刷検査)工程がのSMT工程の品質の砦となっています。



クリームはんだ印刷検査(SPI)の重要度~基板実装工程で地味だが重要についてはこちら






SMT部品実装工程



SMT部品実装工程とはチップマウンターを使い電子部品をクリームはんだ印刷された箇所に実装する工程です。
電子部品の多くは規格化されたリールやトレイに規則的に入っている状態で供給されますが稀に手で実装する場合もありますが手で実装する用途の場合、リールやトレイに入っていない状態で供給される事もあります。
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チップマウンター



チップマウンターとは、部品実装工程の主役で、はんだ付けの前にクリームはんだを印刷されたプリント基板上に電子部品を実装する装置です。
表面実装機、チップマウンターとも呼ばれ世界中で使われているチップマウンターは日本の4社が世界シェアの8割を占めています。
プリント基板に搭載する部品には、様々な形や大きさがあり、それらの部品を高速・高精度で装着します。



リフロー前検査
リフロー前検査とはクリームはんだ印刷されたプリント基板に電子部品を実装します。
はんだ付けされると位置ズレや部品浮き不良を修理する場合、熟練者がはんだコテを使い修理を行いますが非常に時間が掛かります。
クリームはんだ状態では、ピンセットで実装不良を修正可能なため、はんだ付けされ金属状態での修正よりも早く修正出来き、前工程にもフィードバックが出来るメリットがあるため導入している工場が増えています。




リフロー炉はんだ付け



リフロー炉はんだ付けとは、クリームはんだ印刷して部品実装か完了した、プリント基板を複数のヒーターが搭載された装置ではんだ融点まで加熱してはんだ付けする装置です。
加熱するために温度プロファイルを測定し最適な温度条件を設定する必要があります。
温度プロファイル
温度プロファイルとは、リフロー炉を通過するプリント基板の特定のポイントに熱電対を取り付け、その時間経過と温度推移データをグラフにしたものです。



リフローはんだ付け 温度プロファイルの重要性についてはこちら
外観検査工程(自動、目視)



外観検査工程とは、リフロー炉で加熱されたプリント基板のはんだ付け状態を検査する工程です。
検査方法としては自動検査と目視検査で構成されている工程です。
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AOI検査(自動外観検査)



SMT実装工程で完成したプリント基板を自動検査する工程です。
基板個々に設定されたシリアル番号をバーコードリーダーで読み込み検査をします。
2D/3Dで形状解析し基板はんだ付け状態を部品やはんだ形状、高さなどを検査する。






目視外観検査



自動外観検査された実装完了したプリント基板をレーザー印字されたシリアル番号を読取り自動外観検査結果から検査員が不良判定された箇所を目視検査/修理する工程です。
虚報と本当の不良があり虚報に関しては自動外観検査工程にフィードバックして効率化を図ります。
この時に怖いのが検査閾値を厳しくすると虚報が増え、甘くすると本当の不良が後工程へ流出することです。
不良流出を防止するために、日々チューニングを行い安定化に努めています。
発生した不良ははんだ付け修理資格者が修理を行い、はんだコテで修理するのが通常ですがコテで修理出来ない部品があります。
BGA、CSP、QFNと言われる部品があり専用設備でBGAリワークを実施します。
この修理はスキルが必要な場面で計画的な人員育成が必要な所になります。



BGAリワーク方法改善~基板実装工程はんだ供給技術応用による簡素化についてはこちら




基板アートワーク設計



基板アートワーク設計は、実装品質、効率に大きく影響があるとても重要なタスクです。
設計品質により生産技術、製造現場での苦労が違います。
最近では成熟したはずのプリント基板+部品実装の領域で、ベテラン技術者の定年、人事異動などにより要素技術やノウハウがうまく継承できていないことが多く想定外のトラブルで対処に苦慮する場面が多くなり基板アートワーク設計の重要性が増しています。
プリント基板実装工程の問題点をフィードバックできる仕組みがあれば既存/新規製品に関わらず品質改善が図ることが出来き基板設計条件としてデータベースに組み込むことが出来ます。
社内/社外問わず製造業である、プリント基板実装業界も絶えずコストダウン要求が
基板アートワーク設計での作り込みがプリント基板製品のトータルコストダウンには有効なので製造現場と基板アートワーク設計が工場内にあると品質安定度が格段に向上します。



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基板アートワーク設計と基板実装工程が組織内に存在する強みはこちら



アートワーク設計での基板実装コストダウンはこちら



プリント基板実装工場でのコストダウンはこちら







はんだ付け技術の醸成



はんだ付け技術は本当に貴重な技術で職人スキルで決まります。
基板実装工場でははんだ付け職人の育成が非常に重要になっており社内検定制度やスキルにより報奨金を進呈等、人材育成が活発です。
最近の人手不足や後継者不足でベテランから若手にどんどんノウハウを委譲する必要があります。
他にもBGA交換やリボールという更に特殊技術の習得も必要になりはんだ付け職人需要がどんどん増しています。
プリント基板実装工場には不良解析といった重要スキルがあり不良解析をしていく中でもはんだ付け技術は必須スキルとなります。
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人材育成をしてかないと不良解析、はんだ付けといった特殊技術作業を外部委託しなければなりません。
不良解析やはんだ付けの外部委託は非常にコストが高くなり、時間も掛かるので工場全体の経営にも影響があります。
また今後は、外部委託が出来る業者も減少する事が予想されます。
まとめ



・プリント基板実装工程の流れ
・基板アートワーク設計との関わり
・実装技術の重要性
・関連記事へのご案内
この記事では上記内容について説明をしてきました。
自動化されている工程から職人による工程などプリント基板実装工程と言っても様々な工程経て生産されています。
我々現代人は電化製品が無いと生活が成り立ちませんが電化製品の中には多種多彩なプリント基板製品で構成されています。
電化製品は、食べ物と同じように生活必需品となっておりますが最近では大量生産品は海外生産が多いです。
電化製品を海外に依存していくと今ニュースで騒がれているエネルギーのように海外依存していると”いざ”という時に自分たちの生活が危うくなります。
自分たちの生活を守る上でも、プリント基板実装を国内で生産する事が重要と考えています。
プリント基板実装に興味を持たれた方はこの業界に来てください。
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独り言
日本の製造業は外国企業台頭で日本のものづくりは大変厳しい状況です。
私たちは品質やきめ細かい対応等コスト以外の部分で差別化を図っていますがプリント基板実装する装置は日本製が主になっているので品質で優位性を保つのも難しくなってきています。
キーポイントは人材で日本人の丁寧な仕事が最強の武器なので人材育成を育てた工場が生き残ります。
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