SMT(表面実装)工程ではんだ付けをするには条件出しが必要で温度プロフィルと言われます。
「はんだ付けなんて溶かせば良いんだよ」という方もいるかもしれませんが【はんだ付け温度や時間推移】をグラフ化してフラックス活性や基板や搭載部品への熱の入り方表したものです。
数千点ある部品の中でプリント基板上のキーパーツや配置で測定する部品を決め温度プロファイルを測定して条件を決めます。
はんだ付けの条件出し後には実際にはんだ付けを行い、製品出来栄えを確認して最終的に条件出しを完了という流れになります。

基板実装に従事して30年の実装技術者です。
新製品や工場監査の悩み解決になればと思いブログを書いています。
大量生産品は海外生産が多いですが
現代を支える産業なので国内生産することが技術発展にも繋がります。
基板実装業界の発展が未来を支えるので
この業界に関わる方が増えることを望んでいます。
リフローはんだ付けは表面的に動きが見えないために非常に地味ですが最重要な工程です。
測定場所や方法、温度基準など細かな決め事が必要な工程です。
それは単純に加熱すればよいという事ではなく工場様々なノウハウやはんだ付け基準から統制が取れた加熱が必要です。



ヒーターの熱コントロールノウハウではんだ付けの出来栄えが左右される重要行程なんです。



ファブレスメーカーで実装委託している方にも是非読んで頂きたい記事です。



プリント基板製品は



リフローはんだ付けはヒーター制御でクリームはんだを溶かす技術が必要な工程です。
ただ溶かすのではなく、良好なはんだ付けにするためにフラックス効力を引き出した温度条件が要。






分かり易くSMT工程(表面実装)製造工程の流れを解説はこちら
リフローはんだ付け工程とは
リフローはんだ付け工程とはリフロー炉と呼ばれる設備に基板を流しはんだを溶かしてはんだ付けをする工程です。



リフローはんだ付けは単純に加熱すれば良いっていうものではないですよ。
クリームはんだ性質に合わせた加熱が必要なんだよ。



高品質なはんだ付けにはノウハウや基準で品質が決まるのですね?
どんな感じか教えてくださーい。



DIP(ディスクリート部品)工程の流れを分かり易く解説はこちら



リフロー炉装置とは



リフロー炉とは、プリント基板を複数の上下ヒーターが搭載された装置でクリームはんだ印刷、電子部品搭載後の表面実装工程(SurfaceMountTechnology)に用いられる装置です。
加熱するために温度プロファイルを測定し最適な温度条件を設定するのがノウハウになります。
https://www.senju.com/ja/products/fa/reflow/
温度プロファイルとは
温度プロファイルとは、リフロー炉を通過するプリント基板の特定のポイントに熱電対を取り付け、時間経過と温度推移データを波形グラフにしたもの。
SMT実装工程全体ではチップマウンターで電子部品を実装しているのが動きがあり目が行きますが、工場の技術力を見るには、クリームはんだ印刷同様にプリント基板実装で重要な工程で温度設定でどのような理由で加熱条件を出しているのか?基板実装工場の技術力を判断出来る工程となります。



温度プロファイル測定器
リフロー温度プロファイル測定を行うには測定が必要で一般的な測定器を参考紹介します。
他にも沢山測定器がありますが理解している測定器を紹介します。
マイクロコム製
マルコム製
KIC製
千住金属工業製リフロー炉とタイアップしている測定器で世界中の実装工場で採用されている測定器です。
大きな特徴としては事前にリフロー炉に投入し装置状態を把握し事前に温度条件を導き出すという測定器です。
実装技術者が少ない中で需要がある装置ですが、こだわりがあるエンジニアには馴染み難いかもしれません。
不良解析シミュレータ
プリント基板実装に従事していると慢性不良で解決しないものが発生する場合もありますが
コアーズのリフローシミュレータでは炉内環境を再現し動画解析なども可能です。
装置としては高額ですが以前有料で解析して頂いた事があります。
国内外の部品メーカーなどでも導入されている装置です。
※現在、有償解析の対応有無については不明です。



測定箇所の決め方



図のような測定箇所の決め方の前提条件として
・基板全体を部品推移を可能な範囲で網羅出来るようにする。
・はんだ付け状態を目視出来ないBGA、LGA、QFN等のX線ではんだ付け状態を確認する部品を必ず1個選定
・MSLレベルが厳しい部品の温度
・基板全体で耐熱温度が一番低い部品の温度を測定する。
MSL(モイスチャーレベル)について



基板は温度差が激しい工程を通過をするので部品が吸湿していると熱で水分気化により体積膨張からパッケージ破損を防ぐ目的でMSLが上記に区分設定されている。(JEDEC規格)
可能であれば設計段階や試作段階で耐熱部品やMSLについて事前に開発側や基板アートワーク設計と連携し問題を抽出/解決/回避策を検討し潰しておくことが重要です。



温度プロファイル基準



温度プロファイルのサンプルで説明します。
前提条件として(もっと沢山パラメータ基準が存在します。)
・電子部品耐熱温度は250℃以上
・クリームはんだメーカーのはんだ付け基準内であること
・急激な温度昇降によりフラックスの活性化が損なわれていない事
温度昇降
加熱初期の温度上昇には気を使います。
急激過ぎるとはんだボール発生、遅すぎるとはんだ濡れ性に影響が出ます。
プリヒート
初期加熱後のプリヒート時間はフラックス活性化が目的です。
採用しているクリームはんだの最適な活性化条件になるように温度帯、時間を調整する。
本加熱
本加熱は実際にクリームはんだを溶融させてはんだ付けをする箇所です。
採用クリームはんだの組成により融点が違いますのでクリームはんだ特性を確認して設定する必要がありはんだの融点に合わせた温度設定が必要です。
ピーク温度
ピーク温度とは温度プロファイルで最大温度を指します。
電子部品の耐熱温度内であるか、クリームはんだ融点を指時間を確保しているか確認する。
(クリームはんだ推奨条件に入っているか?)
一般的な組成のメーカー推奨:Sn96.5/Ag3.0/Cu0.5
220℃オーバータイム:30秒~60秒
ピーク温度:230~255℃以内
温度基準として
220℃オーバータイム:40秒~50秒
ピーク温度:235~245℃以内
Δt(デルタティー)
温度プロファイルΔtは5℃以内が理想として取り組みますが基板配置等により厳しい場合は考えますが10℃以内で運用する場合もあります。
滅多にありませんが基板搭載部品のアンバランスな場合は15℃以内で運用の場合もあります。
その場合、はんだ付け状態(フィレット、表面状態)を観察して問題ない事を確認します。



まとめ



SMT工程のはんだ付けに重要なパラメーターである温度プロファイルについて紹介しました。
プリント基板実装工程では動きがある部品実装する部分より動きが無いクリームはんだ印刷や温度プロファイルによる条件出しが非常に重要で製品出来栄えに大きく左右する所です。
温度プロファイル測定する場合は、お客様と測定場所について事前調整をして測定箇所を明確にして臨む必要がありますので実装工場にてノウハウ積み上げを行い発展させていくことが重要です。
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