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DIP(ディスクリート部品)工程の流れを分かり易く解説

CPU基板

プリント基板実装工程の挿入部品実装/はんだ付けについてどのような物なのか紹介します。
初めての方でも分かり易く記事にします。
この記事ではDIP(挿入部品実装)工程について紹介します。

プリント基板製品を生産するには基板実装工場で生産されています。
工場内で【はんだ付け】を複数の工程で生産しており今回、プリント基板生産工程について詳しく解説します。

下の写真はパソコンのマザーボードでDIP(挿入部品実装)工程 はんだ付けされるのはプリント基板に挿入してはんだ付けする部品となります。

CPU基板
マザーボード基板

・USBポート
・画面出力コネクタ
・マウス、キーボードコネクタ
・HDD用コネクタ
・メモリー用コネクタ
・PCI拡張コネクタ
・アルミ電解

この記事の目次(クリックでジャンプ)

プリント基板実装ラインの全体構成

プリント基板実装工程は主に2つの工程で構成されています。
・ SMT(表面実装)工程
・ DIP(挿入部品実装)工程

DIP(挿入部品実装)工程の前にありますSMT(表面実装)工程についてもご覧ください。

基板実装工場のプリント基板実装工場組織についてもご覧ください。

DIP(挿入部品実装)工程とは

DIPはんだ工程

DIPはんだ付け工程は溶融したはんだを扱う工法でSMT(表面実装)工程後に行われる工程です。
下記のような順番ではんだ付けを行います。

・部品挿入(手挿入or挿入機)
・フラックス塗布
・プリヒート(余熱)
・はんだ付け

検査工程は基本的な考え方はSMT(表面実装)工程の検査と同じになります。

・AOI(自動外観検査)
・目視外観検査工程

DIPはんだ付け工程は検査という繊細な作業のため、女性が多いのも特徴です。

部品挿入とは

DIP

挿入部品実装の事をディスクリート実装とも言います。

従来の挿入方法としてはアキシャル/ラジアル挿入機と人手挿入がありSMT(表面実装)工程の発展により部品が小型化され部品挿入自体が減少傾向です。

SMTのように生産自動化の流れにより大型部品の自動挿入が進む方向でプリント基板上の部品全てを自動化しようと様々なメーカーがSMT(表面実装)と連携させた装置が出始めていますがまだまだ発展途上の状態です。

アキシャル/ラジアル挿入機は国内ではゲームセンター系のアミューズメント基板や海外では家電用基板で使われますが最近はあまり見られなくなりました。

人手による部品挿入

様々な形状がある挿入部品ですと現状人手による挿入が一番運用しやすいのが実情で挿入部品は梱包状態が袋入り、トレイ、スティックとバラエティ豊かなので工程で柔軟に対応して挿入する事が出来ます。

問題点としてSMT(表面実装)は交代制勤務で人手挿入は日勤なので生産リードタイムのボトルネックになるという点です。

自動挿入機による部品挿入

最近メーカーが開発に力を入れているのが自動挿入機で従来のアキシャル/ラジアル挿入機とは違い大型異形挿入部品に対して自動挿入するという考え方です。

工場の製品群により大ロット製品なのか小ロット多品種なのかで選択肢が変動します。

工場自動化の考えにより小ロットから大ロットまで対応する自動挿入機の開発競争が始まっておりプリント基板上の全部品の自動挿入を目指すのか、ターゲット部品を決めて自動挿入するのか工場の考え方で導入方法が変わってきます。

FUJIやパナソニック等でも少しずつですが挿入工程の自動化対応の挿入機が出てきています。
まだ少し導入するのは様子見かもしれませんが紹介します。

FUJI挿入機

一番知られているのはsFABシリーズで小型から大型までの挿入部品に対応し費用が高いですが全部品自動挿入を目指すには良い装置でバラ部品も掴んで挿入する事が可能です。

SW-BA

JPCA2022で初めて見たのがSW-BAというFUJI製スカラロボットを用いた自動装置です。

少し速度が遅いですが様々な部品を挿入対応が出来き、部品移載や配膳する事も出来るオールインワン装置で価格も仕様により変化しますが1,000~1,500万円という価格帯で複数連結すると全部品対応や小ロット対応が可能になりセレクティブはんだ付け装置との連結により完全自動化を目指せる装置になっています。

挿入時の注意点

DIMM USB

DIP(挿入部品工程)では簡単に挿入できる小型部品から大型部品まで様々な形状があります。

部品により挿入穴が緩い場合や返しがある部品で一度部品を実装すると取り外しが困難な部品があります。

一番大変なのがUSBやLANコネクタやメモリー挿入用のDIMMコネクタで特にDIMM用コネクタはピン数が200本以上で部品返しもあるために修理が非常に困難な部品です。足折れ(座屈)が1本でも発生すると部品を取外し修理をする事になります。

修理には1時間以上掛かる事もあり、場合によっては修理不能となり廃棄処分することになりますので細心の注意が必要です。

挿入部品のメリット

ディスクリート部品、DIP部品

部品挿入によるはんだ付けにもリットがあります。
・はんだ付け強度、耐久性、信頼性が高い。
・小型化できない部品に対応できる

ユーザー側で抜き差しを繰り返す、USB、画面出力用の部品や電源周辺の信頼性が求めらる部品が当てはまります。人が挿抜する部品は今後も存在し信頼性が求められますので挿入部品は種類は減少しますが今後も確実に存在する部品と言えます。

はんだ付け

挿入部品 DIP部品

フローはんだ付けでは、プリヒート、1次噴流、2次噴流の3段階の加熱が行われる。
・はんだ付けに必要な部分へフラックス塗布を行う。
・余熱(プリヒート)を行い、塗布したフラックスに含まれる溶剤の揮発と酸化物除去
・はんだ付けを1次噴流、2次噴流という順番ではんだ付けを行います。
★溶融はんだは260℃前後で溶けている状態
※1次噴流はSMT(表面実装)実装工程で接着剤を用いた場合に使用。

熱とはんだの供給が、はんだ付け品質に重要要素で品質変動に最も影響がある。
基板の熱容量が大きくなるほど、はんだ付けに必要な熱量が増えることから、噴流による熱供給の安定化はますます重要になる。

ボンド印刷でのSMDフロー実装 ~接着剤部品固定はこちら

フラックス塗布工程

フラックス塗布

はんだ付けに必須な電子材料はフラックスで役割としてはんだ付けする部分の異物や酸化物除去をして良好なはんだ付けを行う事が役割です。

溶融したはんだの中にはフラックスが含まれていないので、フラックスを別で塗布する工程を必要としています。

フラックス供給方法はコンベアで流れてきたプリント基板にフラックスを霧状にしてスプレー塗布での方式が主流となっています。
フラックス塗布していない状態の場合、はんだ付けが出来なくボロボロになります。

ポストフラックスについて ~基板実装工程で必須な電子材料についてはこちら

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はんだ付け工程

はんだ付けはブクブクと噴き出しているのが1次噴流でその後ろで静かに流れているのが2次噴流となります。

各噴流の働きとしては
・1次噴流は挿入穴(スルーホール内)やSMT(表面実装部品)にはんだを供給しやすくする。
・2次噴流は本はんだ付けを行いはんだ付け形状(フィレット)を整える。
※ブクブクと噴き出している1次噴流までに余熱(プリヒート)を行っています。

フローはんだ槽メンテナンス

設備メンテ

フローはんだ槽によるはんだ付けは昔からある方法で古典的です。

電子部品はSMTに切り替えられる部品もありますが信頼性等を考慮してDIP(部品挿入工程)に残る場合も多く、はんだ付けでの熱供給に優れているという面で今後も残る工程となりますので生産技術力が重要になります。

最近ははんだ槽に関する使い方やノウハウは担当者/生産技術者の定年による技術力低下しておりただ使っているだけという工場も見受けられます。

はんだ付け品質管理にはドロス(酸化物)除去は定期的なメンテナンスもSMT工程同様に必要です。

日々の地道なメンテナンスにより品質が大きく影響を受ける工程ですので重要です。

メンテナンスを疎かにすると検査工数も増大し効率的にも影響が出ます。

セレクティブはんだ付けが主流の方向

https://www.youtube.com/watch?v=UWx9M_fARNk

最近ではセレクティブはんだ装置が主流になる方向になっていてフラックス塗布や噴流はんだを全面にするのではなく、必要な個所だけにフラックス、噴流はんだを充てるという方式です。

完全なプログラム制御、はんだ補充など自動化に向けて導入が進んでおり今後セレクティブはんだ装置を中心とした自動化ラインになって行きます。

挿入部品はプリント基板端面に配置されていることが多く、基板搬送をコンベアでし易い配置や基板デザインが求められるので設計時からセレクティブはんだ付けを想定した基板アートワーク設計が必要。

温度プロファイル

はんだ付け

温度プロファイルとは、フローはんだ付け装置を通過するプリント基板の特定のポイントに熱電対を取り付け、その時間経過と温度推移データをグラフにしたものです。

SMT(表面実装)工程と同様にプリント基板をはんだ付けで最も重要な条件出しで温度設定もノウハウが集約されており実装工場の技術力を判断出来ます。

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外観検査工程

外観検査工程とは、はんだ槽で加熱されたプリント基板のはんだ付け状態を検査する工程で検査方法としては自動検査と人手による目視検査で構成されている工程となりSMT(表面実装)工程と考え方は同じです。

AOI検査(自動外観検査)

DIP外観検査機画像

DIP(挿入部品実装)工程で完成したプリント基板を自動検査する工程で基板個々に設定されたシリアル番号をバーコードリーダーで読み込み検査をします。

2D/3Dで形状解析し基板はんだ付け状態を部品やはんだ形状、高さなどを検査する。
OCR機能もあ印字文字の判定もすることが出来ます。
検査結果をDIP(挿入部品実装工程)にフィードバックする事が重要です。

DIP(ディスクリート部品)工程の自動検査化による品質分析や傾向分析により品質向上を図る事が重要な要素になっています。

目視外観検査

自動外観検査された基板を1台1台をレーザー印字されたシリアル番号を読取り自動外観検査結果から
不良判定された箇所を目視検査/修理する工程です。

虚報と本当の不良があり虚報に関しては自動外観検査工程にフィードバックして効率化を図り発生した不良ははんだ付け修理資格者が修理を行います。

人材育成をしてかないと不良解析、はんだ付けといった特殊技術作業を外部委託しなければなりません。
不良解析やはんだ付けの外部委託は非常にコストが高くなり、時間も掛かるので工場全体の経営にも影響があります。
また今後は、外部委託が出来る業者も減少する事が予想されます。

基板アートワーク設計

アートワーク設計

基板アートワーク設計は、実装品質、効率に大きく影響があるとても重要なタスクです。
設計品質により生産技術、製造現場での苦労が違います。

プリント基板実装工程の問題点をフィードバックできる仕組みがあれば既存/新規製品に関わらず品質改善が図ることが出来き基板設計条件としてデータベースに組み込むことが出来ます。

最近では成熟したはずのプリント基板+部品実装の領域で、ベテラン技術者の定年、人事異動などにより要素技術やノウハウがうまく継承できていないことが多く想定外のトラブルで対処に苦慮する場面が多くなり基板アートワーク設計の重要性が増しています。

社内/社外問わず製造業である、プリント基板実装業界も絶えずコストダウン要求が
基板アートワーク設計での作り込みがプリント基板製品のトータルコストダウンには有効なので製造現場と基板アートワーク設計が工場内にあると品質安定度が格段に向上します。

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はんだ付け技術の醸成

生産ライン

はんだ付け技術は本当に貴重な技術で職人スキルで決まります。

基板実装工場でははんだ付け職人の育成が非常に重要になっており社内検定制度やスキルにより報奨金を進呈等、人材育成が活発です。

最近の人手不足や後継者不足でベテランから若手にどんどんノウハウを委譲する必要があります。

他にもBGA交換やリボールという更に特殊技術の習得も必要になりはんだ付け職人需要がどんどん増しています。

プリント基板実装工場には不良解析といった重要スキルがあり不良解析をしていく中でもはんだ付け技術は必須スキルとなります。

人材育成をしてかないと不良解析、はんだ付けといった特殊技術作業を外部委託しなければなりません。
不良解析やはんだ付けの外部委託は非常にコストが高くなり、時間も掛かるので工場全体の経営にも影響があります。
また今後は、外部委託が出来る業者も減少する事が予想されます。

まとめ

まとめ

ここまでプリント基板のDIP(挿入部品実装)工程について解説してきました。
基板実装工程と言っても様々な工程経て生産されています。

このプリント基板製品は現代の生活には欠かせないものなのでSMT(表面実装)工程、DIP(ディスクリート)工程のライン構成、連携方法で工場稼働率、効率、品質が大きく変わる方向になっています。

世界的にも多品種諸ロット化を迎えており現代を支える産業なので大ロット、小ロットという形態の中で変化に対応できる工場が勝ち残って行きます。

我々現代人は電化製品が無いと生活が成り立ちませんが電化製品の中には多種多彩なプリント基板製品で構成されています。

電化製品は、食べ物と同じように生活必需品となっておりますが最近では大量生産品は海外生産が多いです。

電化製品を海外に依存していくと今ニュースで騒がれているエネルギーのように海外依存していると”いざ”という時に自分たちの生活が危うくなります。

自分たちの生活を守る上でも、プリント基板実装を国内で生産する事が重要と考えています。

電化製品に必要なプリント基板実装について興味を持たれた方はこの業界に来てください。

プリント基板実装業界の発展が未来の日本を支えることになります。

生産技術を醸成して国内で生産する事が技術発展にも必須です。
基板実装業界の発展が未来を支えるので業界に関わる方が増える事を望んでいます。

独り言

日本の製造業は外国企業台頭で日本のものづくりは大変厳しい状況です。
私たちは品質やきめ細かい対応等コスト以外の部分で差別化を図っていますがプリント基板実装する装置は日本製が主になっているので品質で優位性を保つのも難しくなってきています。
キーポイントは人材で日本人の丁寧な仕事が最強の武器なので人材育成を育てた工場が生き残ります。

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