日本の製造業は外国企業台頭で日本のものづくりは大変厳しい状況です。
私たちは品質やきめ細かい対応等コスト以外の部分で差別化を図り差別化をしていますがプリント基板実装する装置は日本製が主になっているので品質で優位性を保つのも難しくなってきています。
我々日本の製造業は付加価値とコスト両方を要求されるようになっています。
社内/社外問わず製造業である、プリント基板実装業界も絶えずコストダウン要求があります。
今回の記事では基板アートワーク設計で出来るプリント基板実装コストダウンの着目点を紹介したいと思います。
基板アートワーク設計段階でコストダウン出来る内容って
実装現場だと中々分からない事が多いよね。
まっさんは実装技術者だけど
基板設計に事は分かるの?
基板設計は出来ないけど、いつも基板アートワーク設計者と
話をして現場の要望や改善結果をデータベースに盛り込んだり
設計側の要望を取り入れたりして常に生産しやすい基板を目指しています。
だから今回のような記事が書けるのね。
基板実装現場や基板アートワーク設計者にも見てもらいたい記事ですね。
プリント基板アートワーク設計コストダウン
基板アートワーク設計は単なる設計ではなく、プリント基板生産コストでは回路設計と同様に最上流にある基板アートワーク設計は重要な位置にあります。
基板設計次第で部品費、製造費がある程度決まると言っても過言ではありません。
実装前の基板アートワーク設計次第で製品コストが大きく変わってきます。
外部基板設計に委託する場合は、単に設計費が安いアートワーク設計を依頼するだけではなくトータルコストで考える事が重要です。
また、実装会社内に基板アートワーク設計がある場合、恵まれたアドバンテージを最大限に活用する事をおススメします。
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プリント基板サイズによるコストダウン
実装するにはプリント基板が必要です。
もちろん、プリント基板設計した後は、基板メーカーに材料としてプリント基板を手配します。
その基板サイズによる実装前部品として購入する価格が変わります。
プリント基板メーカーに見積依頼した時に「寸法を何mm小さく出来ないか?」メーカーから言われた経験ありませんか?
それは基材材料からプリント基板が何シート作れるかで製品単価が大きく変動するためです。
キーワードとしては「定尺」「ワークサイズ」「取り数」です。
プリント基板の基材を扱う材料メーカーがプリント基板メーカーに販売する大きさのことを「定尺」と呼びます。
基板には元材料の基材があり分割させた「ワークサイズ」からプリント基板が何シート取れるか「取り数」により基本価格が決まってきます。
定尺とは
プリント基板の基材を扱う材料メーカがプリント基板メーカに販売する大きさのことを定尺と呼びます。
定尺は1,020mm×1,020mmと1,220mm×1,020mmの2種類のサイズがあります。
この定尺から何シートのプリント基板を作れるか基材価格が決まります。
(例:1,020mm×1,020mmの基材が30,000円から何枚作れるか)
ワークサイズとは
プリント基板メーカで製造ラインに流す大きさのサイズのことをワークサイズと言います。
材料メーカから購入した定尺サイズの基材を製造ラインに合わせたサイズに裁断します。
プリント基板メーカによって様々ですが、代表的なワークサイズは上下左右に10mm程度の加工しろが必要になります。
取り数とは 図寸法修正
基材定尺から分割したワークサイズから取る基板数のことを取り数と言います。
メーカーにより変わりますがワークサイズ外と基板間や基板同士は加工しろとしてスペースを確保する必要があります。
その寸法はメーカーによりは変わります。
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プリント基板価格との関係
具体的にどのようになるか見てみましょう。
1020mm×1020mm定尺の場合でコスト計算 ・基材の価格を30,000円 ・基板サイズを200mm×100mm ・ワークサイズ外形から10mm、各基板の間は5mm離す 定尺サイズ :1020mm×1020mm ワークサイズ:4分割(510mm×510mm) 基板取り数 :8枚×4(定尺4分割)合計32枚 基板単価 :@937.5円
1020mm×1220mm定尺の場合でコスト計算 ・基材の価格を30,000円 ・基板サイズを200mm×100mm ・ワークサイズ外形から10mm、各基板の間は5mm離す 定尺サイズ :1020mm×1220mm ワークサイズ:6分割(406mm×510mm) 基板取り数 :4枚×6(定尺6分割)合計24枚 基板単価 :@1,250円
同じ基板でも取り数により基板単価が変わる事を知っておいてください。
これは基板メーカーにより違いがありますので基板設計する段階で構想している基板外形を決めて事前に
基板メーカーから概算見積入手しておくと判断しやすいです。
部品配置によるコストダウン
プリント基板実装のコストは組立費と部品費です。
組立費は基板アートワーク設計次第でもコストを抑えることが出来ます。
それは少しでも工程を少なくする事を指しています。
部品種をSMT部品に集約する。
プリント基板実装の主流は表面実装(SMT)です。
全てではありませんが殆どの部品は表面実装(SMT)部品でリリースされています。
DIP工程(挿入部品)はまだ人手による部品実装が多いため人件費も掛かります。
工程が減るだけではなく、フローパレット等の治工具費削減も出来ます。
少しDIP部品(挿入タイプ)が残ったとしても人手工数が減り部品数が少ない場合、フローはんだではなく
セレクティブはんだ、はんだ付けロボットで作業を行えば
治工具費や人手工数削減が可能です。
片面実装基板に集約する。
部品配置を片面に全て実装した方がコストダウンになります。
治工具ではメタルマスクやバックアッププレート等削減となります。
また、実装生産効率でもリフロー工程が1回分減少し人件費削減リードタイム削減になることによる恩恵があります。
部品選定によるコストダウン
後戻りが無い基板アートワーク設計を目指すべきと考えると下記のような部品は避けるべきと考えます。
EOL近い部品
量産後に部品取りまとめ購入リスクや場合により部品変更や
最悪アートワーク変更をする必要があり、設計変更しなければならない。
実装難易度が高い部品
基板アートワーク設計として難易度が低くても、量産時の実装難易度が高いと品質バラツキや
歩留まり悪化で製造コストが高くなっては意味がありません。
開発としては最新部品を採用したいと思いますが
基板サイズで配置出来るならばトータルコストを考慮すると同じ部品でも
難易度が低いパッケージを選ぶ事が必要です。(BGA、QFN避ける)
X線検査工程も削減する事により効率化も図れます。
(工場側は案件獲得したいのでどちらでも構わないと言う可能性が高いです。)
基板AW設計費コストダウン
基板アートワーク設計を外部へ委託する場合注意が必要です。
必ず見積内容を詰めておきましょう。
基板アートワーク設計が終わり検図承認前に変更等を行った場合見積外費用として追加請求される場合があります。
追加費用が発生する場合はどのような時かを確認しておきましょう。
また相見積も必須です。
設計メーカーにより同じ仕様でのプリント基板でも配線が雑なメーカー、丁寧なメーカーがあるので注意が必要です。
設計者スキルにより出来栄えが全然違いますので出来栄えも確認しておきましょう。
まとめ
プリント基板製品コストは様々な角度からコストダウンのネタを探すことが重要です。
全ての項目がコストダウン出来るわけではなく、それぞれトレードオフの関係になっている箇所もあるので「部品費を下げたら、製造費が上がった」などという可能性もあります。
製品仕様や生産台数などを鑑みて、トータルでバランスが良いコストダウンを実施する必要があります。
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